日常生活では無くてはならない必須家電となっている冷蔵庫ですが、キャンピングカーではどのような使われ方をしているでしょうか。今回は容量や冷却方式、「壊れやすいって本当?」など、キャンピングカーの冷蔵庫にまつわる疑問点を確認してみましょう。
日常生活では無くてはならない必須家電となっている冷蔵庫ですが、キャンピングカーではどのような使われ方をしているでしょうか。今回は容量や冷却方式、「壊れやすいって本当?」など、キャンピングカーの冷蔵庫にまつわる疑問点を確認してみましょう。
家庭用冷蔵庫では200L~500Lくらいの容量をよく目にしますが、余程大型のキャンピングカーでもなければ家庭用と同サイズの冷蔵庫を設置することは難しいでしょう。ここでは代表例として「ポータブル」「40L~50L」「85L~90L」の3つについて確認してみます。
ポータブル冷蔵庫はその名の通り持ち運びのできる小型冷蔵庫です。軽いモデルでも10kg以上のものがほとんどなので、「ポータブル」と言うほど簡単に持ち運べるわけではなさそうです。イメージとしてはクーラーボックスに冷蔵機能を付けたようなもので、「温蔵」機能を搭載したモデルもあります。
動力源は車載電源の12/24Vまたは家庭用100Vの2WAY電源がほとんどですが、一部カセットコンロで動作可能なモデルも存在します。ポータブルタイプの容量には限界があるため、日帰りや1泊2日程度の利用がほとんどという方におすすめです。置き場所を移動可能なことから、限られたスペースを有効活用したい軽キャンパーや小型キャンピングカーにも適した選択となるでしょう。
据え付け型冷蔵庫の中では小さめのタイプで、バンコンなどにはこのクラスを設置する場合が多いようです。1~2食分の食材と飲み物ならば十分に収めることができます。ポータブルタイプの高性能化で、このサイズをビルトインで設置するメリットは小さくなりつつあるかもしれません。
キャブコンやバスコンといった大型キャンピングカーに設置されているタイプです。長期の旅行で利用する場合、このくらいの容量は必要という方も少なくないでしょう。これ以上の容量を求めるならば、家庭用冷蔵庫の設置なども視野に入ってきます。
次に、冷蔵庫の冷却方法について確認してみましょう。
キャンピングカーで用いられる冷却方式は「気化圧縮(コンプレッサー)式」「電子式」「吸熱式」の3つです。
コンプレッサーにより代替フロンなどの冷媒を圧縮し、膨張する際に奪われる気化熱で冷却を行うタイプです。家庭用冷蔵庫と同じ仕組みであり、キャンピングカー用冷蔵庫でも主流となっている方式です。
3タイプの中でも冷却効果は最も大きく、外気温の影響も比較的小さいため性能的には優秀ですが、デメリットとしてはコンプレッサーの作動音がそれなりに大きいことが挙げられます。
電気を通すと吸熱・放熱の反応を行う「ペルチェ素子」を用いて庫内の熱を奪う方式の冷蔵庫です。冷却効果は最も低く、保冷効果をメインにした用途だと捉えた方が良いかもしれません。その分作動音は最も小さく、小型軽量・低コストであることもメリットです。冷却には時間がかかりますが、霜がつかないというメリットもあります。
アンモニアなどの冷媒が気化する際の吸熱効果を用いて冷却するタイプです。海外製の据え付け冷蔵庫に用いられていることがあります。冷却能力、作動音ともに電子式より大きく、気化圧縮式よりは小さくなります。気化圧縮式に比べると外気温の影響も受けやすいようです。
車載電源・家庭用電源に加えてLPガスでも作動する3WAYタイプが多く、ガスを用いることで電力をほとんど消費しないで使用することもできます。一方でガスの充填が必要になるため、国産キャンピングカーではあまり利用されていません。
キャンピングカーに用いられる冷蔵庫を紹介してきましたが、今度は家庭用冷蔵庫との違い、注意点について見てみましょう。
家庭用冷蔵庫とキャンピングカーの冷蔵庫、最も大きな違いは「電源を切ることがある」という点です。家庭用冷蔵庫の電源を切るのは停電時や引っ越しなど極めて稀なケースですが、キャンピングカーの場合は日常的に入・切を繰り返すことになります。
どのような方式の冷蔵庫であっても、庫内が冷えるまでにはある程度の時間を要します。いざ出発!というタイミングで電源を入れてしまうと、冷却に要する電力がまるまる無駄になってしまい、電力に制限のあるキャンピングカーでは非常にもったいないでしょう。小型のものであれば1~2時間程度でも冷えますが、50Lを超えるような冷蔵庫の場合は前日から自宅の電源を利用して冷やしておくことをお勧めします。
これも気付きにくいことですが、食材の温度は庫内の温度に大きく影響します。自宅から持っていく食材は自宅冷蔵庫で可能な限り冷やし、冷凍できるものについては凍らせておくのも良いでしょう。ペットボトルの飲料を数本凍らせて持っていけば移動中の電力も節約することが可能です。
冷蔵庫内部で空気の対流が不可能なほどに食材を詰め込んでしまうと、冷蔵庫をいくら稼働させても庫内の一部しか冷えません。温度センサーまで冷気がとどかない場合、常時フル稼働で必要以上に電力を消費してしまう可能性もあります。冷たい空気は下の方に溜まることや庫内の空気の対流を考えた食材の入れ方をすることで、電力を節約することも可能です。
前述した冷凍ペットボトルもそうですが、保冷剤を使用することで庫内の温度を上がりにくくすることができます。開閉により温度が上がりやすいドア付近や相対的に暖かい空気が溜まる上部に保冷剤を置くことで、庫内を効果的に冷やすことができます。長期間の旅行の際など電力節約のために電源を切る際にも、保冷剤や解凍予定の冷凍食材を入れておくことで庫内の温度を低く保つことが可能です。
キャンピングカーの冷蔵庫は壊れやすいという話をよく聞きますが、実際はどうなのでしょうか。結論から言えば、家庭用に比べて壊れやすい環境であることは間違いありません。壊れやすくなってしまう主な要因には、電源の入・切やそれに伴う結露、車内の振動、外気温の変化、不安定な電源などがあります。
ペルチェ素子による電子式のものを除き、キャンピングカーの冷蔵庫は内部に冷却用の冷媒が存在しています。冷媒を用いた冷蔵庫は傾斜した状態では正常に作動しません。傾斜状態での作動が続くと配管故障や最悪の場合冷媒漏れといった修理の難しい故障にも繋がります。車両の振動も冷蔵庫には厳しい環境のため、悪路走行時は丁寧な運転を心がけましょう。
内部の結露も大きな故障要因になります。電源を切った状態でドアを閉めておくと、庫内と外気の温度差によって冷蔵庫内外に結露が発生し、カビや故障を誘発します。
帰宅したら中の食材を出し、ドアを開けてしばらく乾燥させ、温度差の解消を待ってからドアを閉めるようにすることで結露の発生をある程度防ぐことができます。ただし、ホコリや虫の侵入には注意が必要です。
冷蔵庫の使用中にも結露は発生します。ドアの開閉や温かいままの食材を入れるなど、温度差が発生する状況はなるべく減らしましょう。ドア付近に保冷剤を置くことは結露対策になりますが、開閉時間が長いと逆効果にもなってしまいます。ドアの開閉はなるべく短時間で済まし、温かい食材は十分に冷えてから入れるようにしましょう。
ドアパッキンの劣化も外気の侵入による結露を誘発するため、パッキンの状態は定期的に確認することをお勧めします。
家庭用冷蔵庫には「冷蔵庫背面は壁から〇センチ以上離すこと」といった注意事項があります。キャンピングカーの冷蔵庫も同様で、どの方式の冷蔵庫であっても温かい空気を排出する場所が存在するため、その周辺は空気が流れやすい状態を保つ必要があります。ドア以外を全部囲ってしまうような設置方法は冷却効率を著しく落とし故障の原因にもなりますので、注意が必要です。
今回はキャンピングカーの冷蔵庫について、種類や注意事項を紹介してきました。快適性向上には重要なアイテムである冷蔵庫ですが、電力消費も小さくなく故障のリスクもあるため、適正な方法で使用することが重要です。
使用前に冷やす、食材自体も冷やしておく、使用後のアフターケアを怠らないなど故障を防ぎ長期間使うためのポイントは是非押さえていただければと思います。とは言え、それでも壊れるのが電気製品ですから、キャンピングカーに長く乗る予定の方はどこかのタイミングで冷蔵庫の交換も視野に入れておきましょう。
当メディアでは、20年以上にわたりキャンピングカーの買取サービスも行っております。 確かな知識でオーナー様に寄り添った査定をぜひご体験ください。