本格的なキャブコンが欲しいけど取り回しが不安……という方にお勧めなのがボンゴやタウンエースベースのコンパクトキャブコンです。乗用車+αのサイズ感で初めてのキャブコンでも違和感が少ないとされ、人気のジャンルです。
その中でも長年人気のベース車だったのがマツダ製ボンゴ。マツダの商用車種からの生産撤退に伴い、惜しまれながらOEM(相手先ブランド供給)製へと切り替わりましたが、どんな車だったのでしょうか。今回はそんなマツダ製ボンゴについて紹介します。
本格的なキャブコンが欲しいけど取り回しが不安……という方にお勧めなのがボンゴやタウンエースベースのコンパクトキャブコンです。乗用車+αのサイズ感で初めてのキャブコンでも違和感が少ないとされ、人気のジャンルです。
その中でも長年人気のベース車だったのがマツダ製ボンゴ。マツダの商用車種からの生産撤退に伴い、惜しまれながらOEM(相手先ブランド供給)製へと切り替わりましたが、どんな車だったのでしょうか。今回はそんなマツダ製ボンゴについて紹介します。
2020年に生産終了となった最後のマツダ製ボンゴは1999年に登場しています。21年間にわたり生産された車種ですが、実は1999年のフルモデルチェンジも衝突安全対応に伴う運転席周りの改善がメインで、大部分は1983年に登場した先代モデルを踏襲しており、なんと40年近くも基本構造が変わらない超ロングラン車種でした。
ボディ自体は変わらないものの、エンジンやミッションなどは何度も改良を加えられ、最終的には1.8リットルのガソリンエンジンに5速ATを搭載しエコカー減税にも対応する現代的な仕様となりました。
それでは、ボンゴの人気の秘訣はどんなところにあったのでしょうか。具体的に見てみましょう。
まずはメリットから見ていきます。やはり車体のコンパクトさ、取り回しの良さが何よりも魅力的だという見方が多いようです。また、見逃せないのが最大積載量。キャブコンへの架装時にはこの積載量が重要になります。そして、新車販売が終了となった「型落ち」モデルにもかかわらず中古車市場では非常に高い人気を保っており、高いリセールを維持しています。
ボンゴの特徴として必ず挙げられるのが「取り回しの良さ」です。車体を横から見るとよく分かりますが、ボンゴのフロントタイヤは運転席の真下にあります。これはトラックや90年代までのワンボックス車と同じ構造で、キャブ部分が前に出ているため前後のタイヤ間の距離(ホイールベース)は必然的に短くなります。ホイールベースが短くなると最小回転半径を小さくでき、また内輪差も少なくなるため取り回しは良くなります。
現行車種はタウンエースと同様にダイハツ製OEMとなっており、こちらはフロントタイヤが運転席前方に位置しています。ホイールベースを比べるとマツダ製ボンゴは2220mm、OEM版ボンゴは2650mmと大きな違いがあります。また、ワンランク大きなカムロードは2545mmとなっており、こちらも30cm以上の差があり、この差が取り回しのしやすさに現れます。
マツダ製ボンゴの魅力の一つが、最大積載量の大きさです。前述したように取り回しのしやすいボディでありながら、最終モデルは全グレードで1,000㎏以上、最大1,150㎏という最大積載量を実現しています。OEM版の現行モデルはタウンエース同様最大800kgですので、積載量に200kg以上の差が発生しています。
この違いはキャンピングカーを架装する際にはとても大きく、同一装備を持たせるのであれば2割以上もの軽量化が必要ということになります。このことからもマツダ製ボンゴはコンパクトなボディで充実した装備を可能にした、キャンピングカーベースには最適な車種だったということが分かります。
既に生産が終了したため新車の取得が不可能となっているマツダ製ボンゴですが、中古車市場での価格は高値を維持しています。高年式キャンピングカーの場合、新車時で430万円台から購入可能だったAtoZ社のアミティが500万円以上の中古価格となっている例など、新車時価格を上回る車両も少なくありません。
このように中古価格が高止まりしているため、愛車を手放す際のリセールバリューに期待が持てる点もメリットと言えるでしょう。
一方、マツダ製ボンゴのデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。こちらは車両自体が持つ元々の性能による点が多いようです。
メリットの点で取り回しの良さを挙げましたが、短いホイールベースと狭いトレッド(左右タイヤ間の距離)はデメリットにもなり得ます。ホイールベースは長いほど直進時の安定性を得られるため、短いホイールベースは高速道路走行時などの安定性では不利になります。また、タイヤが運転席の真下にあるため振動を拾いやすく、乗り心地にも悪影響を与えます。
後輪のトレッドも現行OEMモデルに比べ5cmほど狭く、この点も安定性やコーナリング性能にはデメリットとなります。背の高いキャンピングカーでは特にコーナリング性能への影響が大きくなり、横転などの危険な現象を誘発する可能性もあるため、安全運転には注意が必要です。
最終的に、マツダ製ボンゴのエンジンは1.8リットルのガソリンエンジン一種類となりました。2016年以降はATの5速化により多少改善されているようですが、やはり非力な印象は拭えません。重量がかさむキャンピングカーでは燃費もあまり伸びないようです。
かつてはディーゼル車の設定もありましたが、排ガス規制に適合しないため2010年モデルで廃版となっています。中古市場でもディーゼル車の台数は多くないため、比較的高値になっているようです。
ただし、現行型OEM車やタウンエースのエンジンはさらに小さい1.5リットルです。総重量の軽さを考慮に入れても、ボンゴ以上にパワフルである、とは言い難いのが実情でしょう。
2020年に生産終了となっているため、マツダ製ボンゴを新車で購入することはできません。どうしてもマツダ製ボンゴでキャンピングカーを架装したい、という場合には中古市場から探すということになります。
前述したように、中古市場では価格が高止まりしているため、中古車として考えると決して安くはないでしょう。リセールの点ではメリットですが、購入時にはデメリットとなります。
次に、マツダ製ボンゴをベースにした代表的なキャンピングカーを3種ご紹介します。
老舗ビルダー、AtoZ社の代表的なコンパクトキャブコンが「アミティ」です。コンパクトキャブコンクラス販売台数No.1という実績ある車種です。当社キャンラボでもアミティの査定は非常に多く、「選ばれてNo.1」は間違いないのではないでしょうか。新車時で400万円台から購入できる手の届きやすさもポイントです。インテリアのコーディネートやレイアウトが多彩で、使い方にあった1台を見つけやすいことも魅力です。
マンボウシリーズもボンゴベースキャブコンの代表的車種です。全長はアミティシリーズよりも20cmほど長く、広々とした室内空間が実現されています。全長は長くなりますが、全幅はアミティシリーズよりも細く、取り回しのしやすさは健在です。
トイレルームやシャワールームとして使用可能なマルチルームを装備しているため、長期間の旅行でも快適に過ごすことができます。価格帯は新車時600万円台と、アミティよりは高めです。
マンボウシリーズと同等の全長でマルチルームを装備し、価格帯はアミティ同等に抑えたモデルです。後部に二段ベッドを常設したR2B、広々としたリビングのDC、乗車定員を減らし更に快適性を重視したRWBという3モデルが設定されています。アミティやマンボウシリーズ同様、知名度が高く中古市場でも人気があります。
ここまでマツダ製ボンゴをベースにしたキャンピングカーを見てきましたが、これらの車種を購入するにはどうすれば良いでしょうか。
既に生産終了となっている車種をベースにしているため、残念ながら新車購入はできません。つまり、マツダ製ボンゴベースのキャンピングカーを購入する場合は中古市場からということになります。
とは言え生産終了は2020年ですから、今ならまだ新車同然の車両を入手することも可能です。2016年のマイナーチェンジで5速ATが導入されているため、長く乗れる車両を探す方はそれ以降のモデルがお勧めです。
「どうしてもディーゼルで」という方は前述したように2010年以前のモデルとなるため台数はごく僅かですが、今ならまだ見つけることができるかもしれません。
新車で購入する場合はOEM版ボンゴベースの車両となります。
OEM版ボンゴはトヨタ・タウンエースと同様にダイハツが製造し他社に供給している車種です。したがって、実質的にはタウンエースベースのキャブコンと変わりありませんが、現代の車らしく衝突回避支援装置が標準装備され、燃費性能も向上しています。
OEM版ボンゴベースのキャンピングカーとしては、AtoZ社が「アレン・ハイ/ロー」を開発しています。「ボンゴの新車」ベースでキャンピングカーが欲しい!と言う方は、こちらを検討してみてはいかがでしょうか。
ここまで、マツダ製ボンゴをベースとしたキャンピングカーについて色々と見てきましたが、いかがだったでしょうか。
取り回しや最大積載量の点で他車種よりもキャンピングカー架装に向いた点があり、そのメリットのために中古市場でも価格が高い状態が続いているという点をご理解いただけたかと思います。
基本設計の古さや割高感、新車購入が不可能というデメリットもあるため、「絶対にマツダ製ボンゴが良い!」というわけではありませんが、キャンピングカーベースとして非常に魅力的な車種だったことは間違いないでしょう。メリット・デメリットを考慮した上で、より良いキャンピングカーライフの一助となれば幸いです。
当メディアでは、20年以上にわたりキャンピングカーの買取サービスも行っております。 確かな知識でオーナー様に寄り添った査定をぜひご体験ください。