キャンピングカーには、ディーゼルエンジンを搭載する車両もあります。そこで気になるのがディーゼル規制です。ディーゼル規制に適合していない車両は、運行できない場所があったり、車検を通すことができなかったりします。今回は、キャンピングカーにも関係するディーゼル規制の概要や規制の対策などについて解説します。
キャンピングカーには、ディーゼルエンジンを搭載する車両もあります。そこで気になるのがディーゼル規制です。ディーゼル規制に適合していない車両は、運行できない場所があったり、車検を通すことができなかったりします。今回は、キャンピングカーにも関係するディーゼル規制の概要や規制の対策などについて解説します。
ディーゼル規制とは、ディーゼル車から排出される粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)による大気汚染対策として定められている「NOx・PM法(自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法)」の規制です。NOx・PM法の基準を満たさないディーゼル車は、車検が通せなくなる「車種規制」が実施されます。また、法律に違反すると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられるため、対象のディーゼル車を所有している場合には、早急に対策しなければなりません。
さらに、条例によって自治体独自の規制をしているケースもあります。基準を満たしていないディーゼル車は、対象の自治体へ乗り入れすることができません。対象となる自治体は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県(以下、関東1都3県)と兵庫県の1都4県です。かつては、大阪府も規制対象地域でしたが、令和4年(2022年)4月1日に流入規制(乗り入れ規制)が廃止されました。
自治体独自の規制の基準に従わない場合、関東1都3県では氏名の公表や50万円以下の罰金になり、兵庫県では20万円以下の罰金や荷主等事業者に対する氏名の公表がされます。
ディーゼル規制の対象となる車両は、型式識別記号から判断することが可能です。車種および車両総重量ごとのNOx・PM法不適合の型式は次のとおりです。
【トラック・バス】
■車両総重量1.7t以下:KP-、KE-、KA-、HW-、HA-、S-、P-、N-、K-、記号なし
■車両総重量1.7t超2.5t以下:KQ-、KJ-、KF-、KB-、HX-、HE-、HB-、S-、P-、N-、K-、記号なし
■車両総重量2.5t超3.5t以下:KR-、KG-、KC-、HY-、HC-、U-、S-、P-、N-、K-、記号なし
■車両総重量3.5t超:KC-、W-、U-、P-、N-、K-、記号なし
【乗用車】
KM-、KN-、KH-、KE-、KD-、HT-、HU-、HD-、HA-、Y-、X-、Q-、P-、N-、K-、記号なし
ディーゼル規制の対象になるかどうか車検証を見て、型式を確認しましょう。
また、ディーゼル規制の対象となる車の種類は、法律または条例によって異なります。
自動車NOx・PM法による車種規制(車検を通せなくなる規制)は、トラック、バス、特種用途自動車(トラック、バス、ディーゼル乗用車をベースとしたものに限る)、ディーゼル乗用車が対象です。つまり、多くのディーゼル車が対象となります。
関東1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)条例の対象車種は、ディーゼルのトラック、バス、特種用途自動車(トラック、バスベースのみ)です。兵庫県条例の対象車種は、車両総重量8t以上の普通貨物自動車(特種用途自動車を含む)、定員30人以上の大型バスとなっています。
キャンピングカーは、8ナンバーの特殊自動車であるものの、ベース車両によってディーゼル規制の対象になるかどうかが変わります。いずれにしても、NOx・PM法による車種規制は、多くのディーゼル車が対象であるため、排出基準を満たすように対策しておくと良いでしょう。
ディーゼル規制は、法律や条例によって定められています。ここからは、法律や条例、対象の地域について解説します。
NOx・PM法とは、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」の別名で、自動車の排出ガスや有害物質の排出を削減するための法律です。NOx・PM法の規制手段は、車検を通すことができなくなる「車種規制」によって実施され、違反すると6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
NOx・PM法の対象となる地域は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県の1都1府6県です。(一部の地域は除きます。)
ディーゼル車規制条例は、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を多量に排出する車の運行を禁止する条例です。自治体ごとに国の制度(法律)とは異なる独自の制度を設けています。
規制の対象となる物質は、規制地域によって異なります。
粒子状物質(PM)のみを規制しているのは、関東1都3県(東京都ただし島しょ部を除く、神奈川県、千葉県、埼玉県)です。
粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)の両方を規制しているのは、兵庫県となっています。
条例により規制されている地域では、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)の排出を抑える装置を取り付けなければ、規制対象地域内で車両を運行することができません。
ディーゼル規制に対応していないディーゼルのキャンピングカーで、対象の地域に乗り入れるためには、自動車NOx・PM低減装置(NOx浄化用触媒やDPF)を装着しなければなりません。
ディーゼル規制対象外の地域から規制対象内の地域に乗り入れてしまうと、氏名の公表や50万円以下の罰金などが課せられます。規制や条例は、知らなかったでは済まされないため、ディーゼルのキャンピングカーで都道府県を跨いで移動する場合、NOx浄化用触媒やDPFが取り付けられている車を利用するようにしましょう。
NOx浄化用触媒やDPFを後付けできれば、新しい車の購入よりも費用を抑えられますが、車種によって装置の後付けができない場合があるため注意が必要です。また、後付けでDPFを取り付ける場合、40万円〜100万円ほどの費用がかかります。業者によってDPF取り付け費用が異なるため、詳しい料金は各業者に確認してください。
現行型(2021年のマイナーチェンジ後)のカムロードは、排出ガスの浄化に尿素水(AdBlue)を使用する尿素SCRシステムを採用したエンジンとなっているため、最新の排出ガス規制に適合しています。そのため、ディーゼル規制が実施されている地域でも走行することが可能です。また、所有の地域に関わらず、車検を通すことができます。
カムロードのディーゼルエンジンは、ランドクルーザープラドやハイエースにも搭載される2.8L(2754cc)の「1GD-FTV型」で、最高出力が106kW(144PS)/3,400rpm、最大トルクが300Nm(30.6kgm)/1,200〜3,200rpmとなっています。
ディーゼル規制は、キャンピングカーにも関わる重要な法律や条例です。また、ディーゼル車を含む自動車の排出ガス規制は、年々厳しくなっています。さらに、法律や自治体ごとの条例が変更されることもあるため、現時点で規制をクリアしていても、数年後には規制対象になる可能性も否定できません。ディーゼルのキャンピングカーを検討するときは、NOx・PM法や自治体の条例に対応しているかを事前に確認しておきましょう。
ディーゼル規制とキャンピングカーについてQ&Aでまとめました。ディーゼルエンジンを搭載するキャンピングカーを検討するときの参考にしてみてください。