人間が健康的に生きるためには1日に2リットルから3リットルの水を飲む必要があると言われています。まるで自宅のように快適なキャンピングカーを手に入れたとしても、水道は繋がっていません。飲料水はもちろん、トイレやシャワーに洗面など、様々な場面で必要になる「水」。キャンピングカーのユーザーはどのように補給しているのでしょうか。
人間が健康的に生きるためには1日に2リットルから3リットルの水を飲む必要があると言われています。まるで自宅のように快適なキャンピングカーを手に入れたとしても、水道は繋がっていません。飲料水はもちろん、トイレやシャワーに洗面など、様々な場面で必要になる「水」。キャンピングカーのユーザーはどのように補給しているのでしょうか。
東京都水道局によると、日本人は1人あたり1日平均214リットル程度の水を使用しているそうです。牛乳パック214本分、ものすごい量に感じますが、そのうちの40%が「お風呂」の分だと聞けば納得できるのではないでしょうか。日本は世界平均の2倍以上の降水量とそれを受け止める豊富な森林があり、水資源には大変恵まれた環境です。
(参考:東京都水道局 | よくある質問、国土交通省 | 水資源の利用状況)
そんな日本にあっても、キャンピングカーの給水タンクには限界があります。自宅と同じように水を使うことはできません。キャンピングカーの給水タンクにはポリタンクのように持ち運べるものと車体に固定されたものとがありますが、固定式タンクの大型キャンピングカーでも最大で250リットル程度の容量であり、自宅同様の使い方をすれば1人が1日で使い切ってしまいます。
もちろん、バスタブ付きのキャンピングカーなどそうそうありませんから、そこまで使用することは難しいかもしれません。それでもキャンピングカー用シャワーの水使用量は1分あたり6~7リットル。10分使えば70リットル近くの水を消費します。3人が10分ずつシャワーを浴びるためには200リットル以上の水が必要となる計算です。5分以内に留めておくのが無難でしょう。
また、トイレもシャワーに次いで水の使用量が大きい設備です。1回あたり6~15リットルほどの水を消費する家庭用トイレに比べ、キャンピングカーの水洗トイレは少ない洗浄水で作動するように作られています。それでも0.5~1リットル程度の水量を消費するので、多人数で使用する際は注意が必要となります。他にも食器洗浄や洗顔、歯磨きなど様々な場面で水を使用することになり、それなりに節約したとしても1日あたり大人2人で50リットル程度の水が必要です。
そうなると、水の補給できる場所は非常に重要です。せっかくキャンピングカーで出かけても、給水タンクが空っぽでは快適な旅とはならないでしょう。いざというときに困らないよう、給水できる場所は事前に確認しておくこともポイントです。それでは、実際にどんな場所で給水できるのでしょうか。
キャンピングカーの給水場所は主に以下の4か所です。それぞれ確認してみましょう。
最も安全に、心置きなく給水できるのが自宅です。毎週タンクを満タンにしても、日々の水道代から大きな変化はないでしょう。ただ、固定タンク式の場合は屋外に水道が無いと非常に不便です。また、旅行先でタンクが空になるたびに自宅に戻って給水するわけにはいきません。自宅はあくまで「出発時」の給水ポイントですが、予備のポリタンクをいくつか用意し、自宅で満タンにしておくという方法もあります。
外出先での給水場所として、最も使用頻度が多くなるのがキャンプ場やRVパークです。もちろん利用料金を支払っての滞在が前提となります。有料ではありますが、宿泊時の滞在場所として給水以外にも色々と便利な場所であり、ゴミや排水の処理も可能な場合が多いでしょう。施設の充実度が場所によって大きく異なるため、WEBサイトなどで事前に確認しておくのが良いでしょう。また、給排水設備の無いRVパークも存在します。
スーパーやコンビニの場合は「給水」ではなく水の「購入」となります。キャンピングカーの給水設備は基本的に飲用には適しません。これは自宅の水道に比べ、タンクや配管内の水の動きが少なく雑菌が繁殖しやすいことや、タンクの完全な洗浄が難しいことによるものです。したがって、飲料水はミネラルウォーターなどを給水タンクとは別に用意しましょう。ウォーターサーバーなどを利用している方もいるようです。移動経路を考える際にも、定期的に飲料水の購入が必要になることを考慮する必要があります。
各地にある湧き水や名水スポット、場合によっては河川なども給水場所になり得ます。これらの水も基本的には飲用以外に利用しましょう。特に人里離れた山間地では注意が必要です。綺麗な水に見えても、動物の大腸菌などで汚染されているケースは少なくありません。どうしても飲用する場合は必ず加熱してください。病原性大腸菌は75℃、1分間の加熱で死滅します。また、言うまでもありませんが、湧き水を長時間独占し顰蹙を買うような行動は慎みましょう。
ここまで代表的な給水場所を見てきましたが、今度は反対に「給水に適さない、してはいけない場所」も確認してみましょう。
道の駅は場所によって給水可能であったり、そうでなかったりします。一般的に、このような施設の水道は「手を洗う」ために設置されており、給水用ではありません。しかし、近年はアウトドアニーズを見込んでRVパークを設置する道の駅も存在し、利用料金を支払うことで水道利用が可能な場合もあります。
道の駅と同様に、公園の水道も「手を洗う」ための水場です。また自治体が管理している場合、その財源は税金です。そのため「日常的に給水に使用する」といった利用が悪質だと捉えられ、法的手段に問われるという可能性も無くはありません。キャンピングカーやアウトドアを楽しめる環境を維持するためにも、マナー違反を指摘されるような行為は避けましょう。
(参考:弁護士ドットコム | 公園の水道等で洗車等とする行為について)
ガソリンスタンドでの給水も店舗によっては可能な場合がありますが、近年ではセルフ式スタンドが大多数のため、スタッフに気軽に頼めるという状況ではないかもしれません。仮に給水を許可してもらえたとしても、それはガソリンスタンド側の好意によるもので、当たり前の対応ではないことを忘れないようにしましょう。
これまで見てきたように、キャンピングカーの水の補給は「いつでも、どこでも」というわけにはいきません。無計画に出発してしまうと、旅の途中で給水タンクが空っぽ、最寄りの給水施設までは100km以上……などということにもなりかねません。乗車人数をもとに水の消費量をおおまかに計算し、タンク容量を考慮して「どの地点で給水するか」を出発前に確認しておくことが、快適なキャンピングカーの旅へと繋がります。
「あてもなく気の向くままの旅をしたい」という気分のときもあるでしょうが、水は人間の生命維持に必須です。1日2リットルの飲料水が確保できなければ、生命の危機に直結します。普通の車で旅行する際にそこまで考える必要はないでしょう。しかしキャンピングカーの旅では、そういった状況が発生し得る人里離れた場所へも比較的気軽に行けてしまいます。水の運用計画は出発前に必ず確認しましょう。
キャンピングカーの「水」事情について見てきましたが、いかがだったでしょうか。給水場所を確保することの重要性が伝わっていれば幸いです。
一方で、キャンピングカーの使用方法によっては「ほとんど水を使わない」という方も存在します。例えば水の消費量が非常に多い設備であるシャワーですが、必ずしもキャンピングカーに必須の装備であるとは限りません。トイレも基本的には宿泊場所に設置されているものであり、移動中もサービスエリアやコンビニだけで十分だという方もいます。その場合、飲料水さえ確保できれば生活用水の重要度は低くなります。
キャンピングカーの給水タンクサイズは車種によって様々ですが、概ねボディサイズに比例します。軽・小型キャンパーは室内空間の制約もあり、ある程度節約しながらの水利用になることが前提です。こまめな給水が必要になりますが、1回あたりの給水量は少なくて済むでしょう。大型キャブコンやフルコンはその反対です。
これからキャンピングカーを購入される方は、自分のライフスタイルやキャンピングカーの使用方法、行きたい場所などをよく考え、給水タンクの容量や給水手段も考慮に入れながら検討することをお勧めします。
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