「いつかはバスコン」と言われることもあり、キャンピングカー乗りには大きな魅力を持つバスコン。路線バスや観光バスの運転には普通「大型二種」免許を用いますが、バスコンの場合はどうでしょう。今回はバスコンと、その運転に必要な免許の種類について見てみましょう。
「いつかはバスコン」と言われることもあり、キャンピングカー乗りには大きな魅力を持つバスコン。路線バスや観光バスの運転には普通「大型二種」免許を用いますが、バスコンの場合はどうでしょう。今回はバスコンと、その運転に必要な免許の種類について見てみましょう。
バスコンとは「バス・コンバージョン」の略称です。バスの改造車ということですね。キャンピングカーは基本的に何らかのベース車両に架装・改造を加えて製作するため、「~コン(バージョン)」と呼ばれることが多いようです。
バスコン以外にはどのような「~コン」があるでしょうか。まずは「フルコン」。フル・コンバージョンの略で、ベース車両はシャーシだけ、上部構造は全て専用に作られた大型キャンピングカーです。フルコンは基本的に輸入車となり、サイズも全長9m程度とまさにフルサイズです。国産では「セミフルコン」「セミコン」と呼ばれる形態がありますが、この場合はバス車両をベースとして「キャブ」と呼ばれる前方部分、運転席などを残していることが特徴です。セミフルコンに近い外見ですが、ベース車両がトラックの場合は「キャブコン」。トラックの荷台部分を架装し、キャンピングカーに仕立てます。国産ビルダーも多く、日本では人気の形態です。ハイエースやキャラバンなどのワンボックスバンをベースにしたものは「バンコン」と呼ばれます。乗用車感覚で運転でき、価格もお手頃。サイズが比較的小さいので都市部でも駐車場所に困りにくいのも魅力です。
そして「バスコン」。トヨタのコースターなど、「マイクロバス」と呼ばれる小型バスをベースに作られています。全長は6mほどで、バンコンよりは大きいですがフルコンに比べれば扱いやすいサイズです。居住空間の広さに加え、人を乗せるためのバスがベースとなるため、トラックベースのキャブコンに比べ「乗り心地が良いこと」も大きな魅力となっています。
バスコンのベースとなるマイクロバスは、基本的に普通免許では運転できません。乗車定員が普通免許の範囲を超えてしまうからです。一方、バスコンの場合はキャンピングカーへの改造により乗車定員が減らされているため、普通免許で運転できる場合もあります。「場合も」というのが重要で、全てのバスコンが普通免許で運転可能というわけではありませんのでご注意ください。
直近15年ほどの間に、免許制度には2度の大きな変更が加えられました。1回目は2007年、それまでの「普通」「大型」免許の間に「中型」免許が設置されました。これにより、普通免許で運転できる範囲が狭まりました。さらに10年後の2017年には「普通」「中型」免許の間に「準中型」免許が設置されました。これにより普通免許の範囲は更に狭まるわけですが、ややこしいことに運転免許は基本的に取得時の運転可能範囲が適用されるため、2007年以前に普通免許を取得している人は2007年以降も「一部の中型車」を運転できる「中型(限定)」免許に更新されています。これが2017年の準中型新設にも適用されるため、現在の普通~中型範囲の運転免許は非常に複雑なことになっています。バスコンの運転にどう影響するのか、具体的に見てみましょう。
現在の運転免許証の複雑さはご理解いただけたかと思いますが、バスコンの運転で問題となるのは基本的に「車両総重量」の規程です。2017年の改正までに普通免許を取得している場合、「準中型」のうち車両総重量5tまでの車両は運転可能であり、2007年改正以前の取得なら8tまでの中型車が運転可能です。バスコンの総重量は概ね5t前後となるため、2017年以前に普通免許を取得している場合は運転可能なバスコンが「一部」あるという状態です。2007年以前に取得していれば、多くのバスコンは問題なく運転できるでしょう。ただし、油断は禁物です。運転可能な範囲外の車両を運転した場合、「無免許運転(免許外運転)」の刑事罰対象となり、免許証は直ちに取り消されてしまいます。車検証上の「車両総重量」と自分の免許の範囲とを必ず確認するようにしましょう。
2017年改正以降に普通免許を取得している場合、運転可能な車両総重量の範囲は3.5tまでとなります。残念ながら、この範囲内でバスコンを運転することは難しいでしょう。ベース車両がトヨタ・コースターの場合、無架装の状態でも4.5t以上の総重量です。バスコンを運転するためには「準中型」免許の取得が必要となります。
現在取得できる準中型免許は、車両総重量7.5t、最大積載量4.5tまでの運転が可能です。多くのバスコンがこの範囲に収まるため、バスコンの運転を目的とするならば準中型免許がおすすめです。2007年改正~2017年改正の間に普通免許を取得している場合、「準中型は5tまで」という限定免許になっていますが、こちらも限定解除の手続きを行うことで総重量7.5tまでの準中型車が運転可能となります。バスコンの所有を考えるなら、限定解除は行っておいた方が良いでしょう。
バスコンの大きな魅力は「乗り心地の良さ」です。トラックベースのキャブコンの場合、本来想定している積載物は貨物であり、特に荷台部分は乗り心地を求めた設計ではありません。そのため、キャブコンとして架装した場合でも走行安定性や乗り心地の面で乗用車とは大きく違った部分が出てきます。一方でマイクロバスは多人数を安全に運ぶことを目的とした車です。乗り心地、走行安定性ともに設計思想からトラックとは異なります。これらの点でキャブコン以上の快適性を得られることは間違いないでしょう。ただし、快適性を求めた設計はコストに反映されるため、価格的には比較的高額になるでしょう。また、キャブコンに比べ中古市場の流通量も少なめです。気に入った1台を見つける、というのはなかなか難しいかもしれませんが、移動の快適性を重視する方は探してみるのも良いかもしれません。
以下、おすすめのバスコンベースを解説します。
バスコンのベース車両として最も一般的なのがこの車種です。車名は二つありますが、リエッセⅡはコースターのOEM(相手先ブランド供給)車であり、中身に違いはありません。ベース車両としての供給量の多さはもちろん、2016年末にフルモデルチェンジし、マイクロバスの現行車種では最も新しい設計となっている点も魅力です。燃費・排ガス性能や衝突安全といった基本的な性能から、プリクラッシュセーフティ機能の搭載といった先進性能まで、現行車種では最も充実したベース車両となっています。ただし現行モデルはまだ中古市場でも高値のため、現状では比較的手ごろな先代モデルをベースにしたバスコンが多いようです。
搭載エンジンが3リットルと小さめな点が特徴的な三菱ふそう・ローザ。小排気量エンジンは燃費面で有利な場合が多く、自動車税も年間4万円ほどで、6万円以上となる4リットルオーバーの他車種に比べ2万円程度安く済みます。現行型の登場は1997年まで遡りますが、こまめに改良を繰り返し、2011年からは「スポーツカー並み」とも言われる現行ハイテクディーゼルエンジンとデュアルクラッチミッションが搭載されています。4WDの設定があることも強みで、積雪地の走行が多い方には有力な選択肢となるでしょう。2019年以降のモデルには衝突被害軽減装置等の先進機能も搭載されています。
2021年に新車販売が終了しており、厳密には現行車種ではありません。ジャーニーはシビリアンのOEM車のため、コースター/リエッセⅡの関係と同様に中身は同じです。2011年にディーゼル車が廃止され、以降はこのクラスとしては珍しいガソリン車のみの展開となっていました。ガソリンエンジンのため走行音や振動の少なさは魅力ですが、燃費的には不利になります。現在はバスコンベースとして積極的に採用されているわけではありませんが、他車種に比べ手の届きやすい価格帯の中古車も存在します。
バスコンと免許証の関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。意外なことに免許証の区分に「車両の大きさ」は関係がなく、重要なのは重さと乗車定員です。マイクロバスベースのバスコンであっても、キャンピングカー架装で乗車定員を減らせば、既に所有している免許証で運転できるケースが少なくありません。直近の2度の改正により中型以下の免許種類はとても複雑になっており、パッと見で理解するのは難しい状況です。自分の運転免許証を確認し、交付日や「中型車(8t)に限る」「準中型車(5t)に限る」といった限定内容を確認してみましょう。また、AT限定や眼鏡等の限定も同じように適用されます。AT限定の免許であってもATのバスコンであれば運転に支障はありません。もちろん、乗用車と全く同じように運転できる車両ではないため慣れは必要ですが、トラックベースのキャブコンに比べ運転しやすいと感じる方も多いはずです。必ず免許証の範囲内で、楽しいバスコンライフをお楽しみください。
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