車中泊人気の高まりや技術の進化により、最近では、エアコンを搭載するキャンピングカーが増えてきました。しかし、キャンピングカーに搭載されるエアコンの種類は非常に多く、どのようなものを選べばよいのか迷う方も多いでしょう。
この記事では、キャンピングカーに搭載するエアコンやクーラーの種類、それぞれのメリットとデメリット、関連の最新情報を詳しく解説します。
車中泊人気の高まりや技術の進化により、最近では、エアコンを搭載するキャンピングカーが増えてきました。しかし、キャンピングカーに搭載されるエアコンの種類は非常に多く、どのようなものを選べばよいのか迷う方も多いでしょう。
この記事では、キャンピングカーに搭載するエアコンやクーラーの種類、それぞれのメリットとデメリット、関連の最新情報を詳しく解説します。
キャンピングカーに設置されるエアコンやクーラーは、大きく3つに分けられます。
・AC100Vエアコン(家庭用エアコン)
・DC12Vクーラー
・スポットクーラー
それぞれの特徴について、ここから詳しく解説します。これからキャンピングカーを購入する方だけではなく、すでに所持している車輌への取り付けを検討している方も、ぜひ参考にしてください。
※いずれもハイエースをベースとしたバンコンに取り付けしたと仮定します。
AC100Vエアコンは、建物に取り付ける家庭用エアコンです。建物向けではありますが、電圧を変換することでキャンピングカーへの取り付けも可能です。
AC100Vエアコンの最大のメリットといえば、高い冷房能力でしょう。国産の家庭用エアコンならではの余裕あるパワーが魅力です。
断熱加工しているキャンピングカーが多いものの、家ほどの断熱効果は期待できません。エアコンやクーラーの冷房能力が低いとキャンピングカー全体を冷やすことは難しいですが、家庭用エアコンであれば十分に冷却できます。
また、除湿が可能な点も嬉しいポイントです。ただ冷却するだけではなく湿度を調整できるため、より車内環境が快適になります。
冷房や除湿が可能で快適性の向上に効果的な家庭用エアコンですが、いくつかのデメリットがあります。
まず、エアコンの本体が大きいということです。もとから家庭用エアコンを搭載するためにつくられている車輌でも、本来の収納部分を取り外さなければ設置できません。そのため、車内が少し狭くなってしまいます。
さらに、家庭用エアコンは室外機が必須ですが、取り付け場所によってはさらに車内スペースが狭まってしまいます。車輌の側面や背面に設置された場合には、顕著に余裕がなくなってしまうでしょう。下部に取り付ければ車内スペースに大きな影響はありませんが、本来立てて使用する室外機を寝かせるため、トラブルや故障が起こるかもしれません。
また、車の電源は本来DC12Vであり、家庭用エアコンを使用するためにはAC100Vへ変換が必要です。インバーターを利用して電圧を変換すると15%ほど変換ロスが発生し、エアコンの稼働時間を短くしてしまいます。より長時間稼働させるのであれば、高価なリチウムイオンバッテリーを搭載する必要があるでしょう。ただし、外部電源の利用を中心に考えるのであれば鉛バッテリーでも問題はなく、大きな出費にはなりません。
暖房として利用するにあたっても注意するべき点があります。暖房は冷房よりも消費電力が多く、サブバッテリーを搭載しているとしても長く稼働できません。さらに気温5度以下では予熱ヒーターが機能しづらく、室外機の破損にもつながりやすいです。
DC12Vクーラーは、電圧を変換せずに車で使用できるクーラーです。近年では、キャンピングカー向けのDC12Vクーラーが多く登場しており、購入を検討するユーザーへの選択肢を広げています。
先述のとおり、車の電源はDC12Vであり、家庭用の機器を使用するためにはAC100Vへ電圧を変換させる必要があります。しかし、DC12Vクーラーはそのまま車で使用できます。
加えて、本体のコンパクトさも大きなメリットです。家庭用エアコンと比べると、本体も室外機も圧倒的に小さく、なかには小型にもかかわらず、家庭用エアコンと遜色のない冷房能力を発揮するものもあります。
バンコンやキャブコンだけでなく、軽のキャンピングカーにも設置でき、取り付け方法も比較的簡単なためDIYも可能です。
コンパクトで搭載車種を選ばず、それでいて十分な冷房能力をもつDC12Vクーラーは、大変魅力的に感じます。しかし、メリットばかりというわけではありません。
大きなデメリットとして挙げられるのは、外部電源を使用できないことです。RVパークやオートキャンプ場などに設置されているAC100Vの電源に対応しておらず、家庭用エアコンのように時間を気にせず利用できるわけではありません。
バッテリーを使用して稼働させますが、鉛のバッテリーだと2個搭載しても動かせるのは4時間程度。リチウムイオンバッテリーのほうが長持ちしますが、値段が高く、場合によっては家庭用エアコンよりも費用がかさむ可能性があります。
バッテリーの充電は外部電源で可能ですが、満充電まではかなりの時間が必要です。充電してからクーラーを作動させるのは現実的ではないでしょう。
家庭用エアコンの搭載が難しい車種でのメリットは大きいものの、大型のキャンピングカーには不向きといえます。
スポットクーラーは、本体と室外機がセットになったクーラーです。家庭でも使われるタイプのクーラーであり、設置が手軽なものが多くラインナップされています。
スポットクーラーの一番のメリットは、手軽に設置できる点でしょう。排水加工しなければならないものの、家庭用エアコンやDC12Vクーラーのように室外機は必要なく、積み込むだけで利用できます。
ビルダーが最初から設置している場合には家具に埋め込まれているため、デザインの邪魔になりません。
スポットクーラーをオプション設定しているビルダーでも、家庭用エアコンやDC12Vクーラーより費用が安く済む場合がほとんどです。
また、家庭用エアコンと同じ100Vで稼働することから、外部電源があれば長時間の使用も可能です。
その名称のとおり、スポットクーラーは局所的に冷やすことに特化しています。そのため、家庭用クーラーやDC12Vクーラーほどの高い冷房能力はありません。
35度以上の酷暑日だと、車内が十分に冷えません。真夏の車内温度は45度を超える場合も珍しくないため、全国的に暑さがピークに達する7〜8月頃にキャンピングカーを利用するのであれば、スポットクーラーは選択肢から外したほうがよいでしょう。
さらに、家庭用エアコンほどの細かな温度設定や風量調整は苦手なため、直接あたると寒く、離れると暑いなど、快適性に欠けることもデメリットです。
エアコンやクーラーをキャンピングカーに取り付ければ、夏の車中泊が快適になることは間違いありません。しかし、気になるのは費用面です。種類別に取り付けにいくらかかるのかを確認しておきましょう。
家庭用エアコンは、取り付けるモデルや車種、ビルダーによって金額が異なるものの、90万円ほどで設置できます。エアコン本体だけではなく、リチウムイオンバッテリーやインバーターなどの必要部品の取り付け費用も含めた金額です。
DC12Vクーラーは、リチウムイオンバッテリーを搭載した場合だと100万円を超える可能性があります。冷房能力は家庭用エアコンより若干劣るにもかかわらず、取り付け費用は上回ってしまうのが注意点です。
スポットクーラーに関しては、40万円ほどの費用がかかります。本体の価格は10万円以下ですが、スポットクーラーから出る熱と水を車外に排出できるように加工する費用が含まれます。自分で設置すれば作業代はかかりませんが、溜まった水を捨てに行ったり、窓を開けて熱を排気するなど、利用において手間がかかる点には留意しておきましょう。
最後に、キャンピングカーのおけるエアコンやクーラー事情について、2024/2/2〜2/5に幕張メッセにて開催された「ジャパンキャンピングカーショー2024」での情報をもとに今年のトレンドを考察します。
「ジャパンキャンピングカーショー2024」では、エアコンやクーラーを搭載したキャンピングカーが多く登場しました。たとえば、トイズファクトリーのトイズボックス470には、スリム型の新クールコンプシステムの登場で家庭用エアコンが取り付け可能になりました。
トイズボックス470は、ハイエースのナローハイルーフをベースとしたバンコンで、車中泊を目的としたユーザーに高い人気を誇っていますが、これまでスペースの関係でどうしても家庭用エアコンを設置することができませんでした。そのため、待望の家庭用エアコン搭載モデルといえるのです。
同じくナローハイルーフの人気のモデルであるOMCのナロー銀河にも、家庭用エアコンの採用が予定されています。三菱ルームエアコン「霧ケ峰」の室外機がコンパクトになったために実現する仕様です。
また、昨年はインバーターを介す必要のないDC12Vクーラーが注目を集めましたが、RVパークで外部電源が使用できないことや、海外製が基本でトラブルが多いことなどを理由に、今年はあまり勢いがないようです。今後は、家庭用エアコンにスリムタイプやコンパクトな室外機が登場したことにより、AC100Vエアコン、いわゆる家庭用エアコンが主力になるかもしれません。
エアコンを搭載するキャンピングカーは増加傾向にあり、今後も続くと予想されます。旅の快適性を高める意味でエアコンやクーラーを搭載しているキャンピングカーのほうが評価が高いため、人気モデルにも変化が出てくるでしょう。
ハイエースをベースとしたバンコンに限っていえば、これまでも主力のスーパーロングには家庭用エアコンを搭載するモデルが多数存在していました。しかし、薄型エアコンやコンパクトな室外機の登場により、これからはコンパクトなナローハイルーフでも家庭用エアコンの搭載が当たり前になるかもしれません。一方で、人気のワイドミドルルーフは、頭上のスペース的な制約などが理由で、DC12Vクーラーかスポットクーラーに頼らざるを得ない状況が続くことが予想されます。
今後はよりコンパクトでエアコンを搭載した手軽なキャンピングカーの人気が高まるかもしれません。
最後に、キャンピングカーのエアコンについてよくある質問をまとめました。