遠方への旅行はキャンピングカーライフの大きな醍醐味ですが、その際に気になるのが高速料金です。一回の旅行が数百キロの行程になることも珍しくないキャンピングカーユーザーにとって、「高速料金が安いかどうか」は車両選びにも影響を与える重要なポイントでしょう。
キャンピングカーの高速料金は複雑で分かりにくいという声も耳にしますが、実際はどんな仕組みになっているのでしょうか。確認してみましょう。
遠方への旅行はキャンピングカーライフの大きな醍醐味ですが、その際に気になるのが高速料金です。一回の旅行が数百キロの行程になることも珍しくないキャンピングカーユーザーにとって、「高速料金が安いかどうか」は車両選びにも影響を与える重要なポイントでしょう。
キャンピングカーの高速料金は複雑で分かりにくいという声も耳にしますが、実際はどんな仕組みになっているのでしょうか。確認してみましょう。
高速料金の仕組みが直感的に理解しにくい原因は、この「車種区分」にあるかもしれません。高速道路を通行する車両は「軽自動車・普通車・中型車・大型車・特大車」の5種類に分類されますが、この分類が「免許証の区分」や「車検証上の区分」と微妙に異なっていて混乱を招きます。例えば車検証上は「普通」区分、免許証は「準中型」区分、高速料金は「中型車」区分というケースが発生します。
車検証は車両法、運転免許は道路交通法、高速料金はそれぞれの管理団体が基準を設けているため、「同じ言葉を別の定義で用いる」という分かりにくい状態になっています。さらにキャンピングカーの場合、「8ナンバー(キャンピング車)登録は普通車」「牽引車は一つ上の区分」という例外的な扱いも相まって一層分かりにくいものとなっています。
この高速道路の車両区分について、それぞれ確認してみましょう。なお、今回の区分はNEXCO中日本のものを基準としているため、高速道路によっては一部対応が異なる場合もあります。
これは特に難しいことはありません。基本的に、軽自動車として登録されているすべての車両が該当します。乗用、貨物、特種(キャンピング)、自家用、営業用、いずれも軽自動車という区分になります。ただし、後述する牽引車両は除きます。
休日割引の対象になります。
ややこしいポイントその1です。
「乗用」「貨物」用途を含めた車検証上の「小型」自動車、及び「普通」自動車の「乗用」用途がこの区分になります。たとえば、同じハイエースでも4ナンバーなら普通車扱い、1ナンバーは次項の「中型車」扱いとなることに注意が必要です。そして、軽自動車以外の特種用途自動車(キャンピング車)はすべてこちらの区分です。軽以外の8ナンバーキャンピングカーは大きさによらず全て「普通車」扱いということです。
休日割引の対象になります。
ややこしいポイントその2です。
車検証上記載が「普通」自動車の「貨物」用途はこの区分です。車検証の区分を扱う車両法は「普通」の範囲がとても広く、大型トラックでも車検証上は「普通」と記載されているため、このような区分のズレが生じます。そのような普通貨物車のうち、「車両総重量8トン未満かつ最大積載量5トン未満で3車軸以下」がこの「中型車」区分となります。
「乗車定員11人以上29人以下で車両総重量8t未満」のバスもこの区分です。
休日割引の対象にはなりません。
ややこしいポイントその3。
「車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上で3車軸以下」の普通貨物車はこの区分となるため、運転免許上の「中型」扱いは高速道路の区分ではほぼ「大型車」となります。
休日割引の対象にはなりません。
キャンピングカーにはほぼ無関係なので割愛しますが、大型バスや貨物トレーラーは主にこの区分です。
休日割引の対象にはなりません。
大まかに、上記のような区分となっています。
牽引車については、「牽引している車種区分の一つ上の区分」が基本となります。普通車区分の車両で1軸トレーラーを牽引した場合は中型車扱い、軽自動車で同じものを牽引すれば普通車扱いです。トレーラーの車軸数や形態(2軸以上かつ軸間距離1m以上など)によっては2ランク上がってしまう可能性もあります。
なお、牽引状態でETCレーンを通行することは可能ですが、ETC車載機のセットアップを正しく行っていない場合はエラーとなる可能性があります。ETCのセットアップ情報には牽引装置の有無を判別する箇所があり、ここが「無」の記載になっている場合は再セットアップが必要です。
また、2軸のトレーラーを牽引する際、軸間距離が1m以内であれば1軸とみなす特例があるため1ランクの上昇で済みますが、残念ながらETCレーンには軸間距離を測定する機能はありません。2軸トレーラーでETCレーンを通過すると2ランク上昇した高速料金が適用されてしまうため、注意が必要です。1ランク上昇に留めるためには、一般レーンでその旨を申告する必要があります。
キャンピングカーに関係してくる高速料金区分は主に「中型車」以下の3区分ですので、ここからはそれらについて詳しくみてみましょう。
ボディタイプ別に代表例を挙げ、東名自動車道の「東京~御殿場」間を走行した場合の高速料金を確認してみましょう。8ナンバーを取得した特種(キャンピング車)登録の場合と、それ以外の場合を比較してみます。
車検証「特種(キャンピング車)」 免許「普通」 高速道路区分「普通車」
通常料金 2,620円
深夜割引 1,820円
休日割引 2,170円
車検証「小型・貨物」 免許「普通」 高速道路区分「普通車」
通常料金 2,620円
深夜割引 1,820円
休日割引 2,170円
車検証「特種(キャンピング車)」 免許「普通」 高速道路区分「普通車」
通常料金 2,620円
深夜割引 1,820円
休日割引 2,170円
車検証「小型・貨物」 免許「普通」 高速道路区分「普通車」
通常料金 2,620円
深夜割引 1,820円
休日割引 2,170円
車検証「普通・貨物」 免許「普通」 高速道路区分「中型車」
通常料金 3,110円
深夜割引 2,180円
休日割引 対象外のため通常料金を適用
車検証「普通・乗用」 免許「普通」 高速道路区分「普通車」
通常料金 2,620円
深夜割引 1,820円
休日割引 2,170円
車検証「特種(キャンピング車)」 免許「準中型」 高速道路区分「普通車」
通常料金 2,620円
深夜割引 1,820円
休日割引 2,170円
車検証「普通・乗合」 免許「大型二種」 高速道路区分「中型車」
通常料金 3,110円
深夜割引 2,180円
休日割引 対象外のため通常料金を適用
車検証「軽自動車・特種(キャンピング車)」 免許「普通」 高速道路区分「軽自動車」
通常料金 2,130円
深夜割引 1,490円
休日割引 1,760円
車検証「軽自動車・乗用」 免許「普通」 高速道路区分「軽自動車」
通常料金 2,130円
深夜割引 1,490円
休日割引 1,760円
休日割引も深夜割引も、割引率は30%です。それにもかかわらず上記のような差額が生じている理由は「休日割引には適用外エリアがある」というものです。
休日割引の対象は「地方部区間」のみであり、東京・大阪の「大都市近郊区間」は対象となりません。東京であれば、おおむね圏央道の内側区間が対象外となります。東京~御殿場間の場合、東京~厚木間は深夜割引だけが適用され、厚木〜御殿場間はどちらの割引も対象となります。
高速料金の基準は5種類の車両区分であり、実際の車体の大きさにかかわらず区分によって料金が変わります。マイクロバスベースのキャンピングカーも8ナンバー登録していれば「普通車」扱いになり、トラックベースの8ナンバーキャブコンはシェルの大きさがどのようなものであってもやはり「普通車」です。
上記の比較には入れていませんが、フルコン・セミフルコンのようなフルサイズのキャンピングカーであっても8ナンバーなら同様に「普通車」です。高速料金だけで経済性を判断することはできませんが、遠出の多いキャンピングカーユーザーにとって「中型車」と「普通車」の料金差は小さくないものになるかと思います。
「普通車」と「中型車」の大きな違いはもとの金額差に加え休日割引の適用可否になります。土日の旅行がメインという使い方をする場合、およそ30%引きとなる休日割引の適用は大きなメリットになるでしょう。
ハイエース等のバンコンの場合、1ナンバー仕様で乗っている方も少なくありませんが、土日の遠距離移動が多い場合は8ナンバー登録を検討してみるべきかもしれません。2022年4月から構造変更の要件が緩和され、8ナンバーの取得が以前に比べ行いやすくなっています。税金等、貨物登録が有利な面もありますが、貨物車の1年車検が2年車検になる点や高速料金の差額、また用途の実態に合った登録という法令順守の面も含め、検討する価値は十分にあるのではないでしょうか。
今回はキャンピングカーの高速料金について見てきましたが、いかがだったでしょうか。料金区分の分かりにくさは免許や車検証といった他の分類との定義の違いによる面が大きく、高速料金の区分自体は意外とシンプルです。軽自動車以外の8ナンバーキャンピングカーはベース車によらず「普通車」区分になると覚えておけば比較しやすいかと思います。
当メディアでは、20年以上にわたりキャンピングカーの買取サービスも行っております。 確かな知識でオーナー様に寄り添った査定をぜひご体験ください。