地震大国と言われる日本では防災対策が欠かせません。防災対策としては、食料や飲み物などを用意することや備蓄しておくことが挙げられますが、キャンピングカーも防災用具のひとつとして注目されています。日本RV協会が2020年に公表したアンケート調査結果によると、7割以上の方が防災のためにキャンピングカーの購入を考えたことがあると回答しています。今回は、キャンピングカーは防災に役立つのか、避難所生活の問題点を解決できるのか、防災のためにキャンピングカーを選ぶ場合どのようなタイプが良いのか解説します。
地震大国と言われる日本では防災対策が欠かせません。防災対策としては、食料や飲み物などを用意することや備蓄しておくことが挙げられますが、キャンピングカーも防災用具のひとつとして注目されています。日本RV協会が2020年に公表したアンケート調査結果によると、7割以上の方が防災のためにキャンピングカーの購入を考えたことがあると回答しています。今回は、キャンピングカーは防災に役立つのか、避難所生活の問題点を解決できるのか、防災のためにキャンピングカーを選ぶ場合どのようなタイプが良いのか解説します。
一般社団法人日本RV協会が2020年3月9日に公表した「キャンピングカーで防災を考える」というアンケート調査によると、「防災のためにキャンピングカーを購入したいと考えたことがありますか?」という問いに対し、77.3%の方が「はい」と回答しています。
また、「キャンピングカーは防災時に活躍すると思いますか?」という問いに対しては、97.5%が「はい」と回答。これらの結果からもキャンピングカーが防災対策に役立つと考えている方が多いといえるでしょう。
さらに、アンケートで「被災時に大切だと思うことを教えてください」という質問もしており、最も回答が多かったのが「場所(23.9%)」、次に「水(22.8%)」、「電源(22.2%)」と並びました。
そして、「キャンピングカーがあれば災害時に確保できると感じているものは何ですか?」という質問には、「場所(34.9%)」「電源(27.9%)」「水(14.8%)」という回答になっています。
日本RV協会のアンケート結果からも、多くの人がキャンピングカーがあれば、災害時に休んだり就寝したりする「場所」、情報収集ツールや通信機器などの「電源」を確保できると考えていることがわかります。
震災や災害により避難所で生活をするときの問題点は、プライバシーの確保、暑さや寒さの対策などが挙げられます。また、食料や飲料水の確保、ペットと過ごす場所も課題となるでしょう。さらに、トイレなどの衛生環境も問題点となります。では、避難所生活では具体的にどのような問題が起きるのでしょうか。
避難所での生活は、見知らぬ人との共同生活になるケースがあるため、プライバシーが確保されにくいです。そのため、ストレスが溜まったり、精神的に疲れたり、落ち着くことができず睡眠不足になったりすることがあります。
キャンピングカーであれば、他人の目を気にすることなく、ゆっくりと休むことができ、ストレスや精神的な負担を最小限に留められます。
避難所は、公民館や体育館など、広さが大きい場所になることが多いため、暑かったり、寒かったりすることがあります。よって、冷暖房器具があっても、大きな空間を冷やしたり暖めたりすることが難しいでしょう。
キャンピングカーであれば、断熱性に優れている車両もあることから、冷暖房が利きやすく、夏でも冬でも快適に過ごすことができます。
避難所には、多くの人が押し寄せますが、トイレの数は少ないことがほとんどです。また、衛生面の観点からも、不特定多数の人が使うため、公共のトイレが清潔とは言いにくいです。
キャンピングカーであれば、車内にトイレが設置されているモデルがあります。そのため、トイレの行列を待ったり、衛生面で心配したりすることも少なくなります。
避難所には、備蓄の食料や飲料水がありますが、限りがあります。また、避難所生活が長くなれば、備蓄の食料や飲料水が底をついてしまいます。
一般的に飲食などの物資は、最低でも72時間分(3日分)が必要とされていますが、避難所に必ずしも72時間分の物資があるとは限りません。キャンピングカーであれば、必要な人数分の物資を車内に常備しておくことができます。
環境省のガイドラインによると、ペットは避難所へ同行するよう記載されています。しかし、避難所にペットを連れていくと、吠えたり、走ったりすることがあるため、他人に迷惑がかかることがあります。また、避難所生活はペットにもストレスがかかるため、人と同様にプライベート空間が必要といえるでしょう。
キャンピングカーでペットと生活すれば、他人に迷惑をかけることがありません。さらに、ペットのストレスも最小限に抑えることができます。
キャンピングカーが防災グッズのひとつと言われたり、注目されたりするのは、居住スペースやプライベート空間が確保され、避難生活に必要な荷物を備蓄しておけるためです。ここからは、キャンピングカーが防災用具として役立つ理由を詳しく解説します。
キャンピングカーのキャビン(室内)は、プライベート空間となります。そのため、避難所のように見知らぬ他人との共同生活をする必要がありません。よって、精神的な疲労を最小限に抑えられます。
また、鍵を閉めれば防犯することができ、金品や食料品などの盗難を防ぐことができたり、自分の身を守ったりできます。さらに、他人の目を気にすることなく着替えられるのもキャンピングカーならではのメリットです。
キャンピングカーには、車のエンジンをかけることなく電装品を動かせる「サブバッテリー」を搭載することができます。生活に欠かせないライフラインのひとつである電気をサブバッテリーで補えるのはキャンピングカーの大きなメリットです。
特にスマートフォンやパソコンを使って情報収集をすることが多い現代において、電気は欠かすことができないライフラインです。近年普及している大容量のリチウムイオンのサブバッテリーやソーラーパネル付きのキャンピングカーであれば避難生活がより安心といえるでしょう。
キャンピングカーには、室内を快適に保つエアコンやヒーターが装備されていることが多いです。そのため、災害時に暖をとったり、暑さをしのいだりできます。ただし、エアコンや暖房器具は、電気を多く消費するため、使いすぎに注意が必要です。なお、車内の電装品を動かすサブバッテリーは、車を動かすメインバッテリーとは別経路になっているため、サブバッテリーが切れても車を動かすことはできます。
キャンピングカーは、プライベート空間であるため、人だけでなくペットも一緒に避難することができます。他人の迷惑をかけることなくペットと過ごせるのは、プライベート空間のキャンピングカーだからこそできるメリットだといえるでしょう。
室内空間が広いキャンピングカーは、収納スペースも充実していることが多いため、一般的な乗用車よりも多くの食料や飲料水を備蓄できます。
避難生活に最低限必要とされる72時間(3日分)の食料や飲料水を家族全員分を揃えると、想像以上に大量になるでしょう。これらの食料品などを避難するときに運び出すのは重労働で体力も使います。
しかし、キャンピングカーに非常食や長期間保存できる飲料水などを常備しておけば、スムーズに避難することができます。ただし、長期間保存の食料や飲料水も賞味期限があるため、定期的に期限を確認したり、備蓄した飲食物を入れ替えたりすることが大切です。
キャンピングカーは、災害時にも役立つ最強の乗り物と考えてしまうかもしれませんが、ボディタイプによっては避難生活に役立たない場合があります。
避難生活に必要なベッドスペースやトイレなど車内の装備を重視してキャンピングカーを選ぶ場合、トラックをベースにしたキャブコン以上のサイズがおすすめです。
バンコンや軽キャンは、休日のアウトドアなどには最適なサイズですが、長期にわたる避難生活には適していないでしょう。災害時にも役立つキャンピングカーを購入するのであれば、3日以上車内で生活できるタイプを選ぶことをおすすめします。
キャンピングカーは、災害時に役立つ車として注目されています。避難所生活の問題点を解決できるキャンピングカーを防災用具のひとつとして準備しておくと、万が一の時に安心できるでしょう。
ただし、防災用具としてのキャンピングカーは、冷暖房器具やトイレなどの車内装備が重要です。また、キャンピングカーを防災用として購入した場合であっても、車両の保管場所を確保したり、車や車内装備の定期的なメンテナンスをしたり、維持費が発生したりします。キャンピングカーを購入する際は、維持することも考慮して決断することが大切です。
キャンピングカーを防災アイテムとして利用するときに気になるポイントをQ&Aでまとめました。防災のためにキャンピングカーの購入を検討しているときの参考にしてみてください。