2022年4月の法令改正により、軽キャンパーを中心とした小型キャンピングカーの構造変更による8ナンバー取得が以前より簡単になりました。この影響もあり現在注目されている軽キャンピングカー、そのなかでも今回は「軽キャブコン」と「軽トラキャン」の違いについて見てみましょう。
2022年4月の法令改正により、軽キャンパーを中心とした小型キャンピングカーの構造変更による8ナンバー取得が以前より簡単になりました。この影響もあり現在注目されている軽キャンピングカー、そのなかでも今回は「軽キャブコン」と「軽トラキャン」の違いについて見てみましょう。
「軽キャブコン」も「軽トラキャン」も軽トラックをベースとしている点は同じです。居住空間であるシェルを荷台に「載せた」タイプが軽トラキャン、車体自体を改装し構造変更を行ったものが軽キャブコンと呼ばれています。シェルを車体の一部として扱うのが軽キャブコン、あくまで荷台に載せた荷物として扱うのが軽トラキャンと言い換えることもできます。
まずは軽キャブコンについて確認していきましょう。軽トラックをベースに、荷台部分を取り払い、固定式のシェルに換装したものが「軽キャブコン」です。トラックベースのキャンピングカー「キャブコン」を軽自動車ベースで作成したもので、小さいながら本格的な装備を備えた車種も多いです。
車体後部を全面的に改装しているため、サイズのわりに設計自由度が高く、軽自動車ベースとしては広い室内と高い居住性を得ることができます。具体的に見てみましょう。
2名乗車の軽トラックをベースとしていますが、構造変更登録を行うことでシェル部分にも乗車定員を割り振ることができ、4名乗車も可能になります。日常生活でも4名乗車ができると何かと便利です。
運転席のあるキャブ部分を除いて大幅に改装するため、軽自動車の限られたスペースを最大限活用する設計が可能です。そのため、居住性も高く、サイズのわりには快適な居住空間を得ることができます。宿泊環境や居住性を重視するなら有力な選択肢でしょう。
大型キャブコンをそのまま小型化したような外観は、「いかにも」なキャンピングカーのスタイルそのものです。本格的キャンピングカーらしい外観にこだわるならば、軽自動車ベースとしては軽キャブコン一択になるでしょう。
このように広い室内空間と高い居住性、キャンピングカーとして魅力的な外観をもつ軽キャブコンですが、反対にデメリットとなる部分にはどんなものがあるでしょうか。
メリットの部分で「広い室内空間」に触れましたが、あくまで「軽自動車ベースとしては」という注釈が付きます。全長3.4m×全幅1.48m×高さ2.0mという軽自動車サイズの制約があるため、広さには限界があります。特に高さ方向はネックになる点で、バンクベッドを備えようとした場合はこの高さ2.0mをオーバーしてしまいます。解決策としてはポップアップタイプのベッド等がありますが、メリットに挙げた「キャンピングカーらしい外観デザイン」とは少し異なるものになってしまいます。別の解決策として、軽自動車枠にこだわらず白ナンバー登録をするという方法もありますが、この場合は後で挙げるように維持費が増え、軽自動車ベースというメリットが損なわれます。
大幅な改装となるため、必然的に費用がかさみます。新車価格は300万円台が中心で、グレードや装備によっては400万円を超えてきます。この価格帯になるとバンコンや中古のキャブコンも視野に入ってくるため、ベースが軽トラックであることを考えると割高感もあるでしょう。
サイズの制約と関連しますが、軽キャブコンには白ナンバー登録の車種も存在します。現在、新車軽トラックの軽自動車税は年額5,000円ですが、白ナンバー登録の場合はそれが4倍の20,000円にまで上昇します。「維持費の安さ」という軽自動車のメリットと「室内空間の広さ」という白ナンバー登録のメリットのどちらを選ぶかという問題ですが、上記の車両価格と同様に、サイズを拡大するのであれば、あえて軽自動車ベースを選ぶ理由は弱くなるでしょう。
ここまで「軽キャブコン」のメリットとデメリットを比較してきました。今度は「軽トラキャン」について見てみましょう。
軽トラキャンは軽トラの荷台に脱着可能なシェルを載せたタイプのキャンピングカーです。その魅力は何といっても「手軽さ」にあります。具体的に見てみましょう。
ボディを改装する軽キャブコンと異なり、軽トラキャンのシェルは荷台に載せている状態です。そのため、不要な時には取り外してトラックの状態で使用することができます。もちろん、シェルは200kg~300kgとそれなりの重量があるため、簡単に脱着できるものではありませんが、それでも「軽トラ」としての使用が可能である点は大きな違いです。アウトリガー等で自立するタイプのシェルであれば、脱着作業も一人で行えます。
軽キャブコンでは300万円以上が相場でしたが、軽トラキャンのシェルは100万円を切る価格帯から選択可能です。また、ベース車への架装を行わないため、手持ちや中古の軽トラにシェルを載せるだけでもキャンピングカーができあがります。一部例外はありますが、ベース車を乗り換えた際にシェルだけ引き続き利用するということも可能です。入手コストの低さは軽トラキャンの大きな魅力と言えるでしょう。
何度か触れたように、軽トラキャンのシェルは「荷物として荷台に積載している」状態です。そのため、構造変更等の面倒な手続きを行う必要がありません。バンクベッド付きの本格的なシェルも軽自動車登録のままで積載することができます。
軽トラキャンの大きな魅力はその「手軽さ」にありますが、ではデメリットは無いのかと言えばそうではありません。続いて、軽トラキャンのデメリットについて確認してみましょう。
構造変更登録を伴う軽キャブコンと異なり、軽トラキャンはあくまで「軽トラ+荷物」です。そのため、乗車定員は軽トラそのままの2名です。シェルは荷物ですから、走行中のシェル内部に乗車することはできません。定員オーバーでの乗車は道交法違反であることはもちろん、シェルの重量によっては過積載状態となり大変危険ですので、当然ですが絶対に行ってはいけません。
繰り返しますが、軽トラキャンのシェルは荷物扱いです。そのため積載したままでは車検に適合しません。普段ずっと積んだままであっても、少なくとも車検時には取り外す必要があります。その際に問題となるのが作業場所であり、保管場所です。シェルの販売業者が車検等を行っている自動車整備工場であればこの問題は解決できそうですが、そうではない場合も多いでしょう。自宅に脱着・保管スペースが無い場合、ディーラーや整備工場に有料でお願いする、というケースも考えられます。それすら断られてしまうと途方に暮れることになるため、脱着や保管のスペースについては購入前に検討しておく必要があるでしょう。
軽トラキャンでは基本的に軽トラック側への架装は行わないため、外観上も「軽トラック+シェル」のままです。軽キャブコンに比べ、「本格的なキャンピングカー」らしい外観とは言い難いかもしれません。シェル自体にも様々なデザインのものがありますが、やはりベース車との一体感という点では軽キャブコンに及びません。軽トラック側をカスタムする等の方法もありますが、いずれにしてもキャンピングカーらしい外観を重視する方は購入前によく検討することをお勧めします。
ここまで、軽キャブコンと軽トラキャン、それぞれのメリット・デメリットを確認してきました。最後に両者共通のメリット・デメリットを見てみましょう。
軽トラックベースですので、車両の取り回しの良さは抜群です。旅行先の道路の広さを心配する必要がなく、駐車場所にも困りません。
軽自動車として登録した場合になりますが、普通車よりも格段に安い維持費で所有することができます。白ナンバー登録のキャブコンの場合、室内の広さや快適性と引き換えにこのメリットは失われます。
軽トラックに初めて乗る人は、乗用車との乗り心地の違いに驚くかもしれません。軽トラックは快適に移動するための車ではないため、乗り心地の優先順位は高くありません。中にはサスペンションなどの足回りまで改装された車種もありますが、基本的に乗り心地には期待できません。
現在新車販売されている軽トラックには、ターボエンジン搭載車が存在しません。そのため、どちらの形であってもパワー不足を感じる可能性は否めません。軽キャンピングカーは常に最大積載重量に近い状態で走ることになるため、特に長距離や高速道路を運転する際にはパワー不足がストレスとなる場合もあります。中古の軽トラでターボやスーパーチャージャー付きエンジンを搭載したものを探そうにも、最も新しくて10年前の車両となるため、簡単ではありません。軽トラベースのキャンピングカーを検討する際には、パワー不足を考慮に入れておきましょう。
軽キャンパーの中でも特に本格的なキャンピングカーらしさを備えた「軽キャブコン」、本格的な居住空間シェルを比較的手軽に味わえる「軽トラキャン」、それぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、いかがだったでしょうか。ベース車両が軽トラックという点でいずれの形態でも制約となる部分はあり、なかなか百点満点とはいかないかもしれません。その中で、より自分のスタイルにあった車種や形態を見つけ出し、魅力的なキャンピングカーライフを送る一助になれば幸いです。
当メディアでは、20年以上にわたりキャンピングカーの買取サービスも行っております。 確かな知識でオーナー様に寄り添った査定をぜひご体験ください。