キャンピングカーを選ぶポイントは色々とありますが、やはり「トイレの有無」は重要なポイントではないでしょうか。あれば便利なのはもちろんですが、汚水処理が面倒という声も耳にします。購入後のキャンピングカーの使用方法やライフスタイルによっても必要性が変わってくる、トイレの有無。今回は気になる「排水処理」の方法を中心に見ていきましょう。
キャンピングカーを選ぶポイントは色々とありますが、やはり「トイレの有無」は重要なポイントではないでしょうか。あれば便利なのはもちろんですが、汚水処理が面倒という声も耳にします。購入後のキャンピングカーの使用方法やライフスタイルによっても必要性が変わってくる、トイレの有無。今回は気になる「排水処理」の方法を中心に見ていきましょう。
「キャンピングカー」の構造要件として水道設備の設置が含まれているため、キャンピングカーとして8ナンバーを取得している車両には給水/排水設備が設置されています。水は清水用の給水タンクに貯蔵され、洗面台等の設備で使用し、そして排水用のタンクに貯蔵されます。この排水用タンクのうち、生活排水をためるものは「グレータンク」、トイレ等の汚水をためるものは「ブラックタンク」と呼ばれています。
洗面台やキッチン、シャワー等で使用された排水を貯蔵するタンクです。可搬式と固定式がありがあり、容量は10リットルから数百リットルまで様々です。持ち運んで処理ができる可搬式と違い、固定式の場合はタンクにホースを接続して排水します。排水可能な場所は限られるため、注意が必要です。
キャンピングカーで利用されるトイレは大きく「マリン式トイレ」「カセット式トイレ」「ポータブルトレイ」の三種類に分けられ、いずれも水洗式です。便器部分とタンク部分はシャッターによって分離され、トイレ使用後の汚水はブラックタンクに貯蔵されます。
海外製大型キャンピングカーなどは船舶と同様の「マリン式トイレ」を持ち、ブラックタンクは固定式となっています。マリン式トイレは独立したトイレルームを持ち、家庭のトイレと遜色ない使用感が得られるため居住快適性は高くなります。固定式タンクのため、容量が大きめなこともポイントです。ただし日本国内の場合、固定式タンクの汚水を処理できる施設は限られます。キャンプ場やRVパークでも設備があるとは限らないため、生活排水以上に注意が必要です。
国産キャンピングカーの場合は「カセット式トイレ」を装備している場合が多いです。マリン式トイレの快適性はそのままに、取り外し可能なカセットタイプのブラックタンクを装備したものがカセット式トイレです。ブラックタンクは可搬式になりますが、便器とは分離されて車体外部に取り付けられます。固定式タンクに比べ容量は小さくなりますが、独立したトイレルームを持つ点は変わりませんので、それなりのスペースを持ったベース車両が必要です。
より小型のキャンパーではタンクがトイレと一体になった「ポータブルトイレ」の採用が多くなります。タンク容量は小さめですが、「ポータブル」の名の通り持ち運びが可能なため、スペースの限られた小型キャンパーにも設置できます。
生活排水のグレータンク、トイレ汚水のブラックタンクともに排水処理には注意が必要です。生活排水だからと言って、キャンプ場などの区画内やサービスエリアの手洗い場などに流すことは絶対に止めましょう。他のゴミ等もそうですが、基本的には持ち帰ることが前提です。それでは、実際にトイレ排水を処理可能な場所にはどのようなものがあるでしょうか。確認してみましょう。
先にも述べた通り、基本的には持ち帰りが前提となります。可搬式タンクであれば自宅トイレが最も一般的な排水処理の場所となるでしょう。また、自宅が一軒家であれば「排水桝(ます)」に流すという方法もあります。排水桝は自宅から下水道へと繋がる流路に配置された小型のマンホールのようなもので、これを用いれば汚水の室外処理が可能です。特に固定式タンクの場合、タンクは自宅内に持ち込めませんので、ホースを接続しこの排水桝で汚水を処理することになります。自宅がアパートやマンションの場合は排水桝による処理ができないため、キャンピングカー購入時にはトイレの種類を確認することが必要となります。
自宅以外で汚水処理可能な場所として、キャンプ場やRVパークに設置された「ダンプステーション」という施設が存在します。排水桝と似た小型のマンホール様の穴が地面に設置されていて、ここにホースを接続したり可搬式タンクから直接排水したりすることが可能です。固定式ブラックタンク装着車には非常に有難い施設ですが、すべてのキャンプ場に設置されているとは限りません。キャンプ場やRVパークを利用する際は事前に確認しておくと良いでしょう。
ほかにも「ガソリンスタンドで処理してくれる」等の情報を見かけることがありますが、公式サービスではない場合がほとんどです。相手方の善意で処理してもらう、という形になるため、トラブルにならないよう注意が必要です。
トイレ汚水の処理方法について見てきましたが、便利な半面、面倒な部分もあるようです。ここではトイレ設置のメリット、デメリットを整理して確認してみましょう。
キャンプ場やRVパークの利用時はもちろん、高速道路のSAでの車内泊時なども含め、キャンピングカーでの宿泊は「近くにはトイレがある」という状況も多いはずです。それでも車内トイレは必要でしょうか?
やはり、「あれば助かる」というユーザーも多いようです。景色の良い山間部のキャンプ場に泊まったはいいものの、朝のトイレが混み合ってもう待っていられない!などという状況に陥ってしまえばキャンプどころではありませんね。早朝、寒い季節の室外トイレは気温が氷点下という場合も珍しくありません。場所によってはあまり清潔でないトイレもあるでしょう。早朝の絶景を心置きなく楽しむためにも、トイレは重要です。
行楽シーズンの渋滞は恒例行事ですが、常に問題になるのがトイレ事情です。人間の尊厳に関わります。いざと言うときの選択肢があるというだけで心にゆとりが生まれ、安全運転にもつながることでしょう。お子様やシニア層が乗るならなおさらです。
トイレを持たない車両の場合、宿泊場所には必ずトイレが必要となります。人里離れた秘境を楽しみたい!と思っても、トイレの無い場所で一晩過ごすわけにはいきません。トイレ設置車両であれば、駐車スペースさえ確保できればどんな場所でも車内泊が可能になります。「キャンピングカーで色々な場所に行きたい!」という方には重要な視点でしょう。
トイレを設置すれば便器とタンクが必須装備となるため、室内空間は当然狭まります。軽キャンパーや小型キャンパーの場合、トイレの設置が「他の何かと引き換え」になる可能性もあります。このような場合はトイレ自体を固定しないポータブルトイレが解決策となるかもしれません。
先に見てきた通り、トイレの汚水処理にはルールがあります。慣れないうちは処理に失敗することもあるかもしれません。処理が面倒で使わなくなる、という可能性も。ただ、可搬式タンクの場合、ブラックタンクの中身は薬剤処理により汚物感は軽減されますし、固定式はホースから排出されるため中身はあまり見えません。慣れればそれほど抵抗感は感じないでしょう。
車両と言う密閉空間の中にトイレがあると、どうしても臭いが気になることも出てくるでしょう。汚水タンクはシャッターで密閉されますが、トイレそのものは室内空間と繋がっています。カセット式やマリン式でトイレが独立した部屋になっている場合、このデメリットは相当軽減されるはずです。
臭いを防ぐための消臭剤も様々な種類が販売されています。ポータブルトイレに付属していることの多い「アクアケム」という商品が有名ですが、他にも微生物による分解で臭いを防ぐバイオ系消臭剤、逆に有機物の腐敗を遅らせることで臭いを防ぐ介護用消臭剤などが存在します。車内でトイレの臭いを感じる場合、これらの消臭剤を試してみるのも良いでしょう。
トイレ取り付けのメリット・デメリットは確認できたでしょうか。それでは、実際にトイレを設置する場合、どのような車両が良いのでしょう。
これまで見てきたように、トイレは室内空間を占有します。軽・小型キャンパーの場合は他の空間とトレードオフになるため、用意するとしても移動可能なポータブルトイレとなる場合が多いでしょう。個室のトイレルームを用意するなら、必然的にある程度のボディサイズを持ったベース車両に限定されます。余裕のある中型以上のキャブコンがおすすめですが、小型キャブコンやバンコンに設置している車両も見受けられます。比較的手の届きやすいボンゴ/タウンエースクラスのキャブコンでも独立したトイレルームとカセット式トイレの設置は十分に可能です。
トイレの快適性を重視するなら大型キャブコンやバスコン、フルコンといった選択肢も出てきますが、価格差も相応なものになるため経済性とのバランスを検討する必要があるでしょう。また固定式ブラックタンク装備車では「排水場所にホースが届くかどうか」という点も重要になります。大型キャンパーの購入を検討する際には、自宅の駐車場所と排水桝の距離にも注意しましょう。
ここまで、排水処理を中心にキャンピングカーのトイレ事情を見てきましたが、いかがだったでしょうか。トイレはキャンピングカーのメリットである居住快適性や宿泊場所の自由度をさらに上げる装備です。排水処理には注意が必要な部分もありますが、それも含めてキャンピングカーライフとして楽しめるようになりたいものですね。この記事が皆様のキャンピングカーライフの一助になれば幸いです。
当メディアでは、20年以上にわたりキャンピングカーの買取サービスも行っております。 確かな知識でオーナー様に寄り添った査定をぜひご体験ください。