車「上」泊という言葉をご存じでしょうか。文字通り、車の「上」に張ったテントで宿泊するスタイルで、近年流行している「オーバーランダー」と呼ばれるカスタマイズの象徴にもなっています。今回はこの「オーバーランダー」と車上泊について、詳しく見てみましょう。
車「上」泊という言葉をご存じでしょうか。文字通り、車の「上」に張ったテントで宿泊するスタイルで、近年流行している「オーバーランダー」と呼ばれるカスタマイズの象徴にもなっています。今回はこの「オーバーランダー」と車上泊について、詳しく見てみましょう。
もともと「overland」「overlander」は空路や海路に対して「陸路の」という意味で、転じて「放浪者」という意味も持ちます。アウトドアスタイルとしての「オーバーランダー」は、アメリカやオーストラリアのような広大な大地を、整備されていない路面も含めて長期間走破していくようなイメージのカスタマイズを指し、そのための象徴的な装備が「ルーフトップテント」やオーニング(日除け)です。オフロード四駆のような、車高を上げる「リフトアップ」もしばしば見られるカスタムです。
キャンピングカーとオフローダーの中間に位置するのがオーバーランダーだと考えるとイメージしやすいでしょうか。オーバーランダーの特徴をいくつか見てみましょう。
最も象徴的なのが「ルーフトップテント」の装備です。オーバーランダーは車の屋根の上、あるいはトラックの荷台の上にテントを設置し、そこで寝泊まりします。車の上で完結するタイプのテントもありますが、スペースを確保するために横・前後方向に拡張した形で展開されるものもよく用いられています。サイズは1人用の小型のものから最大4人が寝られるファミリーテントまで様々な種類がラインナップされています。
テントは本体とベース部分、昇降用のラダーなどから構成されていて、走行時はルーフキャリアや荷台のキャリア上に格納されます。設置の簡便さは大きな魅力で、また車の上に展開されるために地面の地形や温度の影響を受けないという利点があります。岩場のような地面でも、ぬかるんだ泥濘地でも関係なくテントを設置できる、まさに「オーバーランダー」の性質を体現しているのがルーフトップテントだと言えるでしょう。
一方で、ルーフや荷台にテントを設置するため、それによる制約も出てきます。特にルーフキャリアに設置する場合、耐荷重の問題は小さくありません。「キャリアベース→キャリア→テント」という構造物が屋根の上に乗り、宿泊時にはさらに人間の重量が加算されます。このため、車両によっては屋根が凹んだり破損したりする可能性も。一般的に、車両の屋根上にそこまでの重量物を載せることは想定されていません。自動車メーカーに問い合わせても「ご自身の責任で」と言われてしまうでしょう。ですので、テント選び、テントの取付は経験を持った専門業者に依頼することをお勧めします。
キャンプ道具のなかでも、テントは大きなスペースを必要とします。登山用テントならまだしも、快適性を重視した大きめのキャンプ用テントともなれば無視できない容量になるでしょう。オーバーランダーの場合、この快適なテントが車外に設置されているわけで、荷室の容量はその分解放されます。もともと長期間の移動を前提にしたスタイルのため、荷室はできるだけ大きく使いたい。その結果が「テントの外付け」という形をもたらしたというわけです。
オーバーランダーカスタムの場合、テントと共に重要なのが走破性です。広大な土地を、整備された道路の有無に関係なく走破する。このようなスタイルのため、ベース車両には高い走破性が求められます。ルーフトップテントの耐荷重という点からも、コンパクトカーやスポーツカーには向かないスタイルと言えます。
ヘビーデューティーという点で、ピックアップトラックは最適なベース車になるでしょう。また、荷室や室内空間を重視するならワンボックスタイプという選択肢も出てきます。外見だけでなく実際に道なき道を行く、という方は必然的にランドクルーザーやパジェロといったオフロード四駆がベースになるでしょう。
カスタマイズスタイルとしてのオーバーランダーでも、走破性のアピールは欠かせないポイントです。SEMAやオートサロンなどのカスタムカーショーには近年多くのオーバーランダー仕様車が出展されていますが、どれも走破性とヘビーデューティーを強く意識したデザインになっています。具体的には車高を上げるリフトアップ、オフロードタイヤやオーバーフェンダー、グリルガードの装着などが定番でしょうか。それに加え、室内や外装に実用アイテムを装着することで、外見だけではないオーバーランダースタイルを作り上げていくことができます。
ルーフトップテントの装着には耐荷重の計算が必須です。装着できる車両、できない車両、加工すればできる車両など、車両とテントの種類によって条件は様々です。自動車メーカー側では対応できない事項も多いため、専門知識を持った業者と相談しながら装着していく必要があるでしょう。
ひとくちに専門店と言っても、テントの代理店のようにキャンプ・アウトドア側の知識が豊富な業者や、特定車種専門のチューニングショップのように自動車側の専門知識を持った業者など様々なものがあります。オーバーランダーを楽しむためにはどちらも欠かせない知識ですが、まずはルーフトップテントの装着実績のある業者を選ぶことをお勧めします。
ランドクルーザーやハイエースなど人気車種の専門店を展開する業者が、海外アウトドアブランドの正規輸入元としてルーフトップテント装着をはじめとしたオーバーランダーカスタムを提供しているケースなどもあります。車種ごとの専門知識とオーバーランダーカスタムの施工知識を持つこれらの専門業者は心強いサポートとなるはずです。
オーバーランダーとルーフトップテントによる車上泊について見てきましたが、いかがだったでしょうか。見るからに高い走破性を持った外見的な魅力、どこでも展開可能なルーフトップテントによる快適性、両者がもたらす移動の自由度。キャンピングカーでは入れない場所へ行き、オフロードカーにはない快適な宿泊が可能な「オーバーランダー」。これからのアウトドアスタイルの中心的なカスタムになっていくかもしれない、要注目のスタイルです。
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